2009年2月28日土曜日

皆さん、お気をつけ下さい。~その2~


 映画「おくりびと」のアカデミー賞受賞で、「納棺師」の仕事がにわかに脚光を浴びているが、同じ葬祭業界の一角を担う墓石業者の世界では、一部の悪質な業者が消費者の無知を逆手に幅を利かせている。素人に墓石の善しあしなど分からないうえ、販売方法は完全に業者主導。粗悪で高価な墓石を買わされている遺族も多いという。


 「新しい形式の葬儀が登場するなど、葬祭業界全体が変わりつつある中で、墓石業界も公平に相見積もりできる仕組みなどを確立すべき。何十万円もする墓石の価格や品質を消費者に納得していただける態勢が整っていないから、いつまでもクレームや不信感がなくならない」


 こう語るのは「お墓ディレクター」の資格を持つ都内の墓石業者。墓石業界の市場規模は約300億円、業者数は全国で約1万2000社といわれるが、最近、中国産墓石をめぐる施工後のトラブルが急増しているという。


 「中国産墓石はいまやシェア8割を超えていますが、その多くは『中国産A998』のように産出省ごとに割り当てられた石種の記号を表示するよう、業界団体から指導されています。しかし、一部の業者は自分たちで勝手に『〇〇石』などの商品名を付けて販売。大手の業者ですら『××省産』と明記しつつ、肝心の記号はナシです。これは、石を知らない素人に他社の同種墓石と比較されないための方策です」


【素人には見分けつかず】
 その一方、「国産」と表記した墓石の加工を中国で行っているケースもあるという。中国産墓石の多くは工程の多くを機械化し、大量生産することでコストを抑制、加工のための人件費も安いことから国産とは比較にならない安価で販売できる。だが、石は国産でも加工が中国では、「純国産」とは言えない。
 日本仏事ネット(福岡)によると、墓石購入費用の全国平均は約174.1万円。高い買い物だけに、購入者も墓石の質は気になるところだろう。一般に、良い墓石を選ぶポイントは(1)硬度が高く(2)吸水率が低く(3)キメが細かいこと-といわれるが、石材だけで数千種類もあり、業者でさえ石材を覚えるのに最低3年はかかるといわれるから、素人による判別はほぼ不可能だ。しかも、仏石など目立つ部分にのみ注文通りの石材を使用し、目立たない敷石などは低ランクの石を使う悪質業者もいるというから油断ならない。


 「油断ならないのは墓石だけではありません。最近、首都圏近郊に増えている私営霊園。これは複数の墓石業者が共同開発したものが大半ですが、墓地購入後、数年以内にその業者の墓石を買うという条件を付けるところも多い。これも消費者本位とは言いがたい」(都内の中堅葬儀社社長)


 前出のお墓ディレクターは「日本石材産業協会では、加盟社に産出国と産地を記した産地証明書と産地国証明書の添付を勧めています。われわれだって『おくりびと』の一員ですから、良い意味で注目されたいものです」と話している。
      
※写真はイメージで、本文とは無関係です。


 ZAKZAK 2009/02/27より

2009年2月23日月曜日

皆さん、お気をつけ下さい。


宗教法人の運営する墓地が競売にかけられるケースが大阪府内で相次いでいる。

 すでに永代使用権を得ていた契約者が、競売で墓地を取得した所有者から再び「使用料」を請求される事態も発生。高齢化社会の中で、〈終(つい)の住み家〉が揺らいでいる。

 大阪府豊中市の中心部にある約740区画の霊園。京都市の宗教法人が1995年に開設し、約500区画に墓石が立つ。未納骨の区画についても、契約者が1区画80~150万円の永代使用料を宗教法人に支払っている。

 2002年、元代表役員への融資の担保として土地の大半と事務所に抵当権が設定されたが、同役員らが別の霊園事業に失敗。同年から07年に競売にかけられ、東大阪市の墓地管理会社が取得した。その後、同社は未納骨の区画の契約者に、「解決金」の名目で1区画あたり40万円を支払うよう求めた。

 墓地の経営主体は宗教法人や自治体に限られ、同社は別の宗教法人に霊園を売却する予定。「解決金を払えば区画の使用権を次の経営母体に引き継ぐが、支払いがなければ、使用権のないことを確認する訴訟を起こす」としている。

 95年に74万円で永代使用権を取得したが、解決金を請求されている豊中市の女性(61)は「義父の墓を建てようと思っていたが、まさかお墓に抵当権がつき、売られてしまうなんて」と困惑する。
 府内では05~07年に吹田市など計2か所の墓地が競売され、いずれも別の宗教法人が落札したが、利用者が新たに使用料を請求される例はないという。

 宗教法人経営の墓地は全国に約5万9000か所に上る。バブル崩壊で檀家(だんか)からの寄付が減った宗教法人が、不動産会社や石材会社をスポンサーとして墓地開発に乗り出して失敗。担保に入れた墓地が競売される事態は静岡県でも起きている。

 厚生省(当時)は00年、墓地の経営許可を出す都道府県などに「安定経営の障害になるため、抵当権が設定されている場合は抹消させる必要がある」との指針を示し、豊中市の霊園についても府が宗教法人を指導したが、応じなかったという。

 藤井正雄・大正大名誉教授(宗教学)は「墓地経営が破綻(はたん)しても、永代使用料を払った人に責任のないことは明らか。利用者の承諾なしに抵当権を設定できないようにするなど、永代使用権を保護する法整備が必要だ」と指摘する。



※写真はイメージで、本文とは無関係です。


(2009年2月22日 読売新聞より)

2009年2月6日金曜日

震災を忘れない ~その3~


展覧会:震災から学んだ「助け合いの心」 東灘の絵画教室、きょうから /兵庫

 ◇絵画教室「アトリエ太陽の子」、元気と希望与える1000点
 ◇四川大地震、被災地に贈る巨大アートの制作/中国で活動、高校生らのワークショップも


 神戸市東灘区の絵画教室「アトリエ太陽の子」は6日から、同市灘区の県立美術館原田の森ギャラリーで「防災・造形絵画展覧会~僕たち私たちに出来ること」を開く。阪神大震災の経験から学んだ「助け合いの心」を生かした子どもたちの芸術作品約1000点を展示するほか、中国・四川大地震の被災地に贈る巨大アートの制作、被災地で活動した高校生らによるワークショップもある。8日まで。【中尾卓英】


 神戸市や阪神間の幼稚園児から高校生まで約400人が通うアトリエでは、震災で幼児2人(家族5人)が犠牲になり、子どもたちに「1・17」の記憶を語り継いできた。04年からは、全国の子どもたちの防災の取り組みを顕彰する「ぼうさい甲子園」に参加。インド洋大津波(04年)や新潟県中越地震(同)では、被災した子どもたちに励ましの絵画や絵手紙を贈ることなどを通じ、「世界に笑顔と平和を運ぶ」芸術の可能性に挑戦してきた。
 7日は午前10時半と午後1時半の2回、子どもたちが「忘れてないよ」の思いを込め水墨などで縦2・6メートル、横12メートルの「虹はつながっている 中国・四川に届けよう1000本のひまわり」を制作する。先月末から一部の制作が始まっており、神戸市立向洋小4年の田村政宗君と梅澤広生君は「四川では僕たちと同年代の子どもたちが大勢犠牲になった。家族を亡くした人に元気と希望を届けたい」と、絵筆を走らせた。
 このほか、8日午後1時、四川大地震被災地で支援活動をした県立舞子高環境防災科3年生や同校の諏訪清二教諭、紙芝居などを通じて小学生向けの防災教育カリキュラムの開発、普及に取り組む神戸学院大生らとのワークショップも開かれる。
 会場には、毎日新聞(神戸・明石面)に連載中の「ぼくの・わたしのたからもの」でも紹介した「防災ポスター」のほか、巨大防災すごろくゲーム▽防災3Dアートカルタ▽巨大絵画「よみがえる神戸の街」▽舞子高生の四川写真パネル--などを展示。「備えの大切さ」を訴える。入場無料。問い合わせは、同アトリエ(ファクス兼用078・858・7302)へ。
〔神戸版〕


毎日新聞 2009年2月6日 地方版
絵画教室「アトリエ太陽の子」HP http://ganet.web.infoseek.co.jp/03036.html