2009年9月15日火曜日

お一人おひとりのご要望に添えるよう…。




神戸市内某墓地に建立した墓所です。


ご家族の中に車椅子で生活なさっている方がおいでのお施主様でした。ですので、車椅子のままでも無理なく花を手向けて頂き、お線香を上げて頂けたら…、という思いで設計させて頂きました。




通路は、左から右へ勾配がついていましたが、可能な限り通路との段差をなくし、止むを得ず付く段差は、石材の面取りのアールが滑らかに大きくなってゆくように計算して、車椅子が楽に乗り入れられるように工夫しました。
我々が「供養箱」と呼んでいる水鉢の前に置かれた石箱は、中にロウソクとお線香がお供えできるもので、風が吹いても火が消えてしまうことはありません。もちろん、車椅子にお掛けになったままでもじゅうぶん届く位置になるように設計しました。
また、ゆっくりとお墓で腰を掛けて亡きご家族と一緒に過ごしたいという思いから、ヒアリング当初、門柱をベンチ代わりにするか、というお話も頂きましたが、せっかくでしたら、ちょっとした清掃用具などが置ける、物入れにしたら良いのではというご提案をしてみました。
天板石の高さも、ご高齢のお母様が腰を掛けて頂くのに適した、“若干低め”に設計しています。
また、奥様のご意向で、全体の印象を「丸みを帯びた優しいお墓」に仕上げました。これはデザインの一面のみならず、幼い娘さんが石の角でケガしないように、という奥様の深い親心もあって、実現しました。
ヒアリングの度に、お施主様ご家族と心を通わせ、最も適した形のお墓を納めさせて頂く…。石屋冥利に尽きます。
「あんたに頼んで良かったよ」と、喜んで頂けるたびに、こちらのほうが感謝の念で一杯になります。この場をお借りして、お世話になりました●家の皆様に、改めて御礼を申し上げます。
有難う御座いました 再拝
                 

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